【篠田節子2冊組】砂漠の船 ブルー・ハネムーン
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ブルー・ハネムーン
美貌の結婚詐欺師・久美子がSF小説家を夢見る青年・修を相棒にして引っ掛けるというスリリングで痛快なピカレスク小説。青年実業家からマンションの頭金をせしめ、大蔵省のキャリアに借りた300万円は返さず、成城のお坊ちゃまとはカルティエの時計やダイヤのブレスレットをプレゼントされたのちに別離と華麗にその戦績を重ねているのでした。女性弁護士に扮し大手証券をだます一方、大芝居を打って御曹司を引っ掛け上手く4000万を騙し取るという風に犯罪規模もエスカレートしていくのですが、好事魔多し、この御曹司が曲者で実は久美子が罠にはまるという展開です篠田作品にしては軽くスピード感もあり、楽しいストーリーです。
砂漠の船
主人公の幹郎は都内の運送会社の事務職。デパートに正社員として勤務している妻・由美子と、中学生の娘・茜の三人で東京近郊の古くなった公団住宅に住んでいます。出稼ぎに行っていた母親は自殺したという過去を持つ幹郎は、家族は一緒に住むべきで、地域社会に根ざした人間性に溢れた家庭を築こうと心に誓っており、会社からの転勤の打診を断り、団地の自治会などの活動に積極的に参加します。しかし昨今も流行っているこの仕事より家庭、出世よりもゆとりのある生活といった幹郎の小市民的な家族幻想は妻にも、娘にも、そして会社にも理解されず疎まれるようになり次々に不幸な事件が起こります。まず幹郎の左遷、降格人事。そしてこれを機にキャリア志向が強かった妻の不満が募ります。娘は父親の理想とは反対に冷淡な個人的な生活を目指し、いかがわしい漫画を同人誌として出版しマスコミにもたたかれるのです。更に妻は不倫し、自身はリストラの憂き目にあうのでした。
この加速度的に幹郎を襲う不幸の嵐により、家族が解体していく様子が淡々と描き出されていきます。