産業図書株式会社の熱烈なる御希望と御鞭撻とによつて此小著を公にすることが 出来た。 図は現在までに原著以外にあまり出版されていない材料を選んで作製し, かつ大石三郎氏著 The Mesozoic Floras of Japan 1940(北海道大学理科紀要第四 韓第五巻)に記載されているものは除去したので,是と合わせて御覧いただければ 日本産化石植物の梗概を一先ず知ることが出来るであろう。著者はなお日本産化石 植物の残余について出版準備を急いで居るから更にそれを公にすることが出来るで あろう。 此書を「日本産化石植物図譜」と命名したが,此中には日本群島以外の東亜 産主要な化石植物及び化石植物に関係ある主要な現生植物の図も若干挿入した。な お此図譜の記載及び説明書は近く出版するはこびに至っている。
更に東亜の化石植物に関し其大略を知らんと欲する学者のために次の書を御すす めする。
1. 古生代に関しては Halle, T. G. 氏著 “Palaeozoic Plants from Central Shansi, 1927. (Palaeontologia Sinica Ser. A. Vol. III. Fas. 1. 1927). 2. 中世代の植物化石としては上述大石三郎氏著 The Mesozoic Floras of Japan, 1940. 3. 新生代化石植物の参考書は適当なものがないが、拙著 Notes on the Cainozoic Plants of East Asia 1953→(一部出版した)で共大要を報告したいと思って出版を 急いでいる。是は熊本大学理科紀要で一部出版すみで全国の主要な大学及び研究所 に寄贈してある。
さて東亜には中生代産化石植物がかなり沢山産出するが,其研究上最も重要な参 考書としては英国 Reading 大学教授の Harris, T.M. 氏著 The fossil flora of Scoresby Sound (East Greenland) Part I-V. 1931--1937. KUHEO Notes on the Jurassic flora of Yorkshire. No. 1-No. 57, 1942?1952. (Annals and Magazine of Natural History, Ser. 11, Vol. 9, 1942-Ser. 12, Vol. V. 1952) を先ず御すすめしたい。