激動のトロピカリズモ期を経て、MPBから、そしてトロピカリアから追放された鬼才としてシーンの奥深くに入り込んでいった天才トン・ゼー。今作では当時のブラジル政権に対する痛烈な批判がメッセージとして込められている。 ジョージハリスンのインド期を煮詰めたような、そしてフランク・ザッパがインドと南米に熱視線を当てて作ったような歌モノ(?)「O Riso e a Faca」、坂本慎太郎が時折楽曲の中で見せる気だるい本性に通じるような、最低限の音数とスポークン・ワードで狂気と快楽を同時に表現する奇跡の小楽曲「Complexo de Epico」など、ブラジル音楽という枠を越えて、常に新鮮な響きで我々の脳と耳をマッサージしてくる大傑作。南米最大の大都市の「不快な音」を丹精込めて吹き込んだ彼の軽妙な都市詩は、純粋にサンパウロそのものといえるかもしれない。 Tres Selosらしく、本人の新たな証言(これ、注目です)、未公開写真、「Lindo Sonho Delirante」の著者であるベント・アラウジョのライナーノーツを含む小冊子、TIP-ONゲートフォードカバーという豪華仕様でのリイシュー。これは絶対に手に入れるべきです! https://youtube.com/playlist?list=PL5rn4dznj_QR_4W--Ggc04FPz2ayB4HV5