メジャーなフィールドではまだ日本にロックが全く定着していなかったニューミュージック全盛時代、そんなメジャーから音源をリリースしていたバンドの中で最もロックを感じさせたのがこの甲斐バンドでした。地道ながら徹底したライヴ活動で徐々に動員数を伸ばしながらついには「HERO」でチャートのNO.1を獲得したことをきっかけに人気が大爆発、以降リリースするアルバムもことごとくNO.1に。ライヴでは次々に大会場を制覇し国内アーティストのライヴ動員数記録を次々に塗り替えっていった生粋のライヴバンドでもあった彼らからは、他にはないロックンロール特有の色気を感じました。そして傑作「地下室のメロディー」をものにした後のツアーでは、アフリカンパーカッションを同行させ、ライブという場において意識的なリズムの実験を行いながらそれまでの活動を総括して行きます。そしてこのツアーの音源をまとめたのが、個人的には一番好きな3枚組名ライブ盤「流民の歌」です。当時ライヴバンドとして絶頂期にあったバンドとしての一体感と上昇感から来る曲の速さとは関係のない得体のしれないスピード感が会場の熱気と一体となり、得体のしれない魔物のようなバイブレーションを生み出しているのが音源からモロに伝わってきます。ひとつ前に2枚組のライブ盤を発表しているにも関わらずあえて3枚組のこのライブ盤をどうしても発表しなければならなかった意味がここにはあります。オープニングのアフリカンパーカッションの洪水から「翼あるもの」へなだれ込む異様なカッコよさを筆頭に「きんぽうげ」や「漂流者」「100万$ナイト」などの曲は彼ら自身ですら二度と再現できないであろう奇跡の名演です。しかし頂点を迎えたバンドはここでのリズムの実験を踏まえて新たな方向性に舵を切り「破れたハートを売りものに」をリリースします。浮遊するリズムがドラッギーなタイトル曲、そしてあのジャックスの早川義夫も大好きな曲と公言していた小林旭の最高のカバーで、この曲に日本独自のオリジナルなリズムを見出したことがカバーした原因なのではないかと思わずにはいられない「ダイナマイトが150屯」等の名曲名演を収録していたにもかかわらず、このアルバムがチャートのNO.1を獲得出来なかったことが、甲斐のアーティストとしての反逆心に再び火をつけ、その方向性をさらに進化させていった現代版「ダイナマイトが150屯」ともいうべき強力なロックンロールリフとファンキーな歌詞が炸裂する「ブライトンロック」ほか、「無法者の愛」「BLUR LETTER」「ナイトウェイヴ」等の強力な楽曲と前作の収録曲のセルフカバーで、甲斐の本気度を実感させた名曲「観覧車82」を収録した「虜」、シングルヒットまで生んでしまった第二弾「黄金」、そして問答無用の第三弾「LOVE MINUS ZERO」という3部作を製作、どのアルバムも傑作と言えるものばかりですが「LOVE MINUS ZERO」で到達した第2の絶頂時に「このバンドでやれることはすべてやり尽した」と解散を宣言します。その潔さも非常にロック的でした。ラストアルバムとなったメンバー4人がそれぞれ1枚ずつ製作した4枚組「リピートアンドフェイド」は賛否を呼びましたが、解散後に発売された「コンプリートリピートアンドフェイド」を合わせて聞くことでその真価がわかるでしょう。松藤の才気が爆発しています!活動初期と後期の音楽性の違いはロキシーミュージックを思い出させます。こんなバンドがチャートのNO.1を獲得し、物議になりましたが「ザ・ベストテン」に出演し、ライヴドキュメンタリーや解散を記念したスペシャル番組がテレビのNHKや民放で放映されたことは今となっては奇跡のようです。「虜」や「破れたハートを売りものに」などは近年評論家レベルで改めて再評価されていますが、初期のいい意味での歌謡曲臭のある下世話なロックンロール、リズムに自覚的かつ意欲的で実験的だった中期、それをとんでもないレベルで進化させたもはや洋楽レベルの後期。どの瞬間にもロックを感じさせる聞きどころがたくさんあります。解散後に甲斐よしひろが発表した傑作セカンドソロアルバムを引っさげて行ったツアーでは、あのストリートスライダーズの蘭丸がギターで全面参加し、その後のインタビューで「最高の経験だった」と公言していました。偏見を捨てて改めて聞いてみてください!思っているあるいは想像している以上に凄いです!
「らいむらいと」激レアな初回デザイン帯!「誘惑」初回の回収ジャケとジャケ違いのセット!「100万$ナイト」シングル付。「虜」初回カラーピンナップ、特殊フィルム付き。「THE 甲斐バンド」初回ジャケ!ピック付き。シングル付。「LOVE MINUS ZERO」レアなステッカー付!「リピートアンドフェイド」ポストカード付!「LOVE MINUS VOICE」10インチカラーレコード。すべてのタイトルのジャケ、帯、盤、解説等は上記総括説明範囲以内、ALL極美~ほぼ美品です。(仕事の関係で時間が取れず質問にはほとんど回答できません。)