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平屋に聳え立つ孤高の雄姿。人の背を越す高さの盛り土や石垣を「水塚」、その上に建てられた蔵を「水屋」という。かつて頻繁に洪水に見舞われた地域には、そこに住む人々の知恵から生まれた水防建築がある。人、植物、大切な家財道具などを非難させ守ってきた。
日本大学理工学部畔柳研究室での約15年に及ぶ水害地帯の建築や暮らしに関わる調査研究を土台に、本書では、中部の木曽三川、関東の利根川や荒川、また四国の吉野川流域などの洪水多発地域に見られる身を守るための10種類の建築構造物類を、撮下し図版と代々受け継ぐ持ち主の声を織り込んだ文章で紹介する。人間サイズを超える堤防が造築される昨今、個人や小さな共同体でつくられた水防建築類の今日的意味合いを巻末の論考で語る。川とともにある暮らしにはその動きを柔軟に受け入れる文化があり、その姿は地域のプロフィールとなって美しく印象づける。
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