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八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) (改版) 新田次郎/著
◆新田次郎『八甲田山 死の彷徨』◆ 実際に明治35年に起きた、陸軍の雪中行軍遭難事件を題材にしたノンフィクション小説。 厳寒の八甲田山を舞台に、訓練として出発した兵士たちが、予想を超える猛吹雪に見舞われ、199名中、199人が死亡または凍傷という未曽有の大惨事へと至った出来事を、新田次郎が緻密な取材と圧倒的な筆力で描いています。
本書は、単なる遭難記ではなく、人間の極限状態における判断、組織のあり方、リーダーシップの問題、そして自然の前に無力な人間の姿を、静かに、しかし深く問いかける作品です。 登場人物たちは実在のモデルをもとに描かれており、そのリアリティとドラマ性の高さから、後に映画化・ドラマ化され、多くの読者に衝撃を与え続けてきました。
新田次郎ならではの気象学的知識も作品全体に活かされており、自然描写の緻密さ、寒冷地での行軍の厳しさが生々しく伝わってきます。歴史・ノンフィクション・山岳文学の枠を超えて、人間ドラマとしても読み応えのある一冊です。
極限の中で、なぜ人は命を落としたのか。そして、何を誤ったのか―― 読むたびに新たな問いが立ち上がる、重厚な名作です。
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