コルトレーン一族の末裔でもあるフライング・ロータスによって設立された〈Brainfeeder〉は、ジャズやフュージョンといったトラディショナルな音楽スタイルと最先端のエレクトロニック・サウンドやビート・シーンのスタイルを見事に融合させたアート性の高さで、世界から注目を集め、近年めざましい勢いで発展を続けているロサンゼルスの音楽/アート・シーンの中でも、常にシーンの先頭に立ってきた。サンダーキャットやザ・ガスランプ・キラーなど多くのユニークな才能が集まる〈Brainfeeder〉において、音楽シーンのみならず、過去2回の来日時もライヴ・ペインティングを披露するなど、ストリート・カルチャー~アート・シーンでも絶大な人気を誇るティーブスが、待望の2ndアルバム『E s t a r a』リリース。
デビュー作以来のフル・アルバムとして今回発表された『E s t a r a』には、音楽はもちろん、アートワークの細部にいたるまで、何物にもカテゴライズされないミステリアスなティーブスの魅力が溢れている。アルバム・タイトルは、英語のbe動詞にあたるスペイン語の“estar”から採られ、“to be”すなわち“将来”に向けたニュアンス、変わりゆく自分を含め、不変的なものなど存在しないという意味が込められているという。また今作では、前述のプレフューズ73、〈Stones Throw〉のジョンティ (Jonti) 、ドイツの〈Morr Music〉からのリリースで知られるイタリアのエレクトロニカ・アーティスト、ポピュラス(Populous)、そしてノルウェーで結成された前衛的ジャズバンド、ジャガ・ジャジストの中心を担うラーシュ・ホーントヴェットも参加。
聴く者すべてを温かく迎え入れるかのような、まるでLAの温暖な気候を反映させたような、心地の良いメロディーと優雅な音像。そして観る者の想像力をどこまでも掻き立てる繊細かつ大胆なアートワーク。ティーブスのクリエイティヴィティは、ビート・メイカーという言葉ではもはや括ることができない。音のキャンパスを埋めていくように独自のサウンドデザインを描いていることが、『E s t a r a』から分かるはずだ。